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ITスキル標準(ITSS)とは?DX人材を育成する効果的な活用法

ITスキル標準(ITSS)の構成や活用方法について詳しく紹介します

ITSSの概要と目的

ITスキル標準(ITSS)は、各種IT関連サービスの提供に必要とされる高度な専門知識と技術を持つITプロフェッショナル人材の育成を目的として作成された指標で、経済産業省が策定し、情報処理推進機構(IPA)が管理する、IT人材に必要なスキルを体系的に整理した指標です。
人材育成の指標として活用
  • ITエンジニアのスキルをレベル1~7で定義し、習得すべきスキルを明確にする
  • 経験年数や業務内容に応じたキャリアアップの道筋を提示
最適な人材配置を実現
  • プロジェクトに必要なスキルセットを明確にし、適切な人材をアサイン
  • チーム全体のスキルレベルを可視化し、効率的なマネジメントを可能に
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客観的な評価基準を提供
  • ITエンジニアのスキルを定量的に評価し、公正な人事評価を実現
  • 属人的な評価から脱却し、組織全体で統一された基準を確立
IT業界全体のスキル標準化
  • 企業ごとのバラバラなスキル定義を統一し、業界全体のスキルアップを促進
  • ITエンジニアの転職時にスキルを明確に示す指標として活用可能
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ITSSが必要とされる背景

1. デジタルトランスフォーメーション(DX)の加速

近年、多くの企業がDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進しています。DXとは、デジタル技術を活用してビジネスモデルを変革し、競争力を高める取り組みを指します。しかし、DXを成功させるには、単に新しい技術を導入するだけでは不十分です。
組織全体で適切なスキルを持つ人材を育成し、戦略的に活用することが不可欠です。
ITSSを導入することで、企業はDXを推進するために必要なスキルを明確化し、適切な人材を確保できます。例えば、クラウド、AI、データサイエンスなどの先端技術を扱うエンジニアの育成計画を立てやすくなります。

2. 深刻化するIT人材不足

日本では、IT人材の不足が深刻な問題となっています。経済産業省の調査によると、2030年までに最大79万人のIT人材が不足すると予測されています。

IT人材不足の主な要因
  • デジタル技術の進化:AI・IoT・ブロックチェーンなど、新しい技術の習得が求められる
  • 少子高齢化:若手エンジニアの供給が減少し、人材の確保が困難に
  • 企業のDX化の遅れ:適切な人材育成の仕組みが整っていない

3. ITエンジニアのキャリアパスの不透明さ

IT業界では、エンジニアのキャリアパスが明確でないケースが多く、スキルアップの方向性に悩む人も少なくありません。
例えば、「プログラマーからプロジェクトマネージャーへ進むべきか?」「技術スペシャリストとして成長すべきか?」といった課題に直面することがあります。
ITSSは、エンジニアの職種ごとに求められるスキルセットを整理し、キャリアアップの指針を提供します。これにより、エンジニア自身が適切なスキルを習得しやすくなり、企業も育成計画を立てやすくなります。

ITスキル標準(ITSS)の構成

ITスキル標準(ITSS)では、ITサービスの分野を11職種35専門分野に分類し、それぞれの職種・専門分野において求められるスキルを7段階のレベルで体系化しています。
ITスキル標準(ITSS)の構成

ITスキル標準(ITSS)で定義される職種

職種
説明
マーケティング 顧客のニーズに対応するために、市場の動向を予測・分析し、ビジネス戦略を企画・立案します。
また、市場分析を通じて得られた情報を活用し、ビジネス戦略の投資効果、新規性、顧客満足度に責任を持ちます。
セールス
顧客の経営方針を確認し、課題解決策の提案やビジネスプロセスの改善支援を行い、製品やサービスの成約につなげます。同時に、顧客との良好なリレーションシップを築き、顧客満足度を向上させます。
コンサルタント
顧客に対して経営戦略やビジネス戦略、IT戦略に関する提案や助言を提供します。これにより、顧客のビジョンや戦略の実現、課題解決をサポートし、IT投資における経営判断を助けます。提案の価値や効果、顧客満足度、実現可能性に責任を持ちます。
ITアーキテクト
ビジネスおよびIT上の課題や要件と適合したITアーキテクチャを設計し、顧客のビジネス戦略を実現します。設計が課題に対するソリューションを構成し、開発や導入の実現可能性を確認します。同時に、情報システムが満たすべき基準を定め、実現性に対する技術リスクを事前に評価します。
プロジェクトマネジメント
プロジェクトの提案から終結までを計画し、実行・監視・コントロールを実施します。計画された成果物やサービスに対して、要求された品質・コスト・納期に責任を持ちます。
ITスペシャリスト 
顧客の環境に最適なシステム基盤を設計・構築・導入します。同時に、構築したシステム基盤の非機能要件(性能、回復性、可用性など)に責任を持ちます。
アプリケーションスペシャリスト 業種や一般的な業務において、アプリケーション開発やパッケージ導入に特化した技術を利用し、業務上の問題を解決するためのアプリケーションの設計から保守までを行います。構築したアプリケーションの品質についても責任を持ちます。
ソフトウェアデベロップメント
マーケティング戦略に基づく市場向けのソフトウェア製品を企画し、仕様決定や設計、開発をします。上位では、ソフトウェア製品に関連するビジネス戦略を考えたり、相談に応じたりします。開発したソフトウェア製品の機能や信頼性などに責任を持ちます。
カスタマサービス 顧客に最適なシステム基盤となるハードウェアやソフトウェアを導入し、カスタマイズ、保守、修理します。同時に、顧客のシステム基盤を管理・サポートし、IT施設の設計や運営も担当します。導入したハードウェアやソフトウェアの品質にも責任を持ちます。
ITサービスマネジメント
サービスレベルを設計し、顧客と合意した基準(SLA)に基づいて、サービスレベルを設計し、システムが安定して動作する責任を持ちます。システムの安全性や信頼性、効率性を向上させ、サービスレベルを保ち、向上させるためにシステムの運用情報を収集・分析し、システム基盤管理も含めた運用管理を行います。
エデュケーション
担当分野の専門技術を使って、ユーザーが必要なスキルを身につけるための研修プログラムを作成し、実施・評価します。
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ITスキル標準(ITSS)の活用方法

日本では、プログラマ→SE→プロジェクトリーダといったキャリアパスが一般的ですが、多様化、深化している顧客ニーズに応えていくためには、それぞれのソリューションや新たな技術分野のプロフェッショナルを育成していく必要があります。
ITスキル標準(ITSS)を効果的に活用するポイントを紹介します。

ポイント1
人材育成として活用
ITスキル標準(ITSS)を指標として、それぞれの職種・専門分野に必要なスキルを明確にしたカリキュラムや研修プログラムを実施することができるようになります。また、企業の事業戦略を達成するために、必要なITスキルを明確化し、ITスキル標準を活用して人材育成計画を策定することで、事業戦略の実現に必要な人材を育成することができます。
ポイント2
人材評価として活用
ITスキル標準(ITSS)を指標として、従業員のITスキルを客観的に評価できるようになり、公正な評価が可能となります。また、公正な評価が行われることで、各人材が納得する評価を得られるようになるため、モチベーションアップにつながります。
ポイント3
人材目標として活用
ITスキル標準(ITSS)を指標として、自身のキャリアパスを明確にし、目標とするスキルレベルを達成するために、必要なスキルを計画的に学習できます。また、必要なスキルと現在のスキルレベルとの差異を明確にし、そのギャップを埋めるための目標を設定することできるようになります。
Step.1
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ITスキル標準(ITSS)の活用効果

人材育成の体系化と目標設定
ITスキル標準(ITSS)は、企業が必要とするITスキルと能力を明確に定義し、それに基づいて計画的な人材育成を行うための指針を提供します。これにより、従業員は自分の職種・専門分野・キャリアパスに沿ったスキルを効率的に習得することができます。
また、必要なスキルと現在のスキルレベルとの差異を明確にし、そのギャップを埋めるための目標を設定することできるようになります。
スキル評価の透明性と公平性
ITスキル標準(ITSS)を導入することで、企業は従業員のスキルを客観的かつ公正に評価する基準を持つことができます。これにより、評価プロセスの透明性が向上し、従業員のモチベーションを維持することができます
競争力の強化
IT分野は技術の進化が速く、常に新しいスキルが求められます。ITスキル標準(ITSS)は、企業が最新の技術トレンドに対応できる人材を育成するためのフレームワークを提供し、結果的に企業の競争力を強化します 。
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適切な人材配置
ITスキル標準(ITSS)に基づいて従業員のスキルを評価することで、各プロジェクトや業務に適した人材を適切に配置することができます。これにより、プロジェクトの成功率が向上し、業務効率が改善されます 。
教育・トレーニングプログラムの最適化
ITスキル標準(ITSS)は、教育機関やトレーニングプロバイダーが提供するプログラムの内容を最適化するための基準を提供します。これにより、従業員が実務で必要なスキルを効率的に習得できるようになります 。
技術変化への迅速な対応
技術の変化に迅速に対応するためには、従業員が最新のスキルを習得し続けることが重要です。ITスキル標準(ITSS)は、企業が継続的なスキルアップを推進し、技術変化に対応するための基盤を提供します 。
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ITSS導入のよくある失敗例

ITSS(ITスキル標準)は、IT人材の育成・評価・配置を体系的に行うための重要なフレームワークです。しかし、単に導入するだけでは効果が得られず、適切に運用しなければ期待した成果を上げることはできません。
目的が曖昧なまま導入する
ITSSは、あくまでスキル標準のフレームワークであり、「導入すれば自動的にスキル管理が改善される」というものではありません。導入目的が明確でないと、形だけの運用になり、結局活用されずに終わってしまうケースが多いです。

  • 業界標準だから導入したが、実際に活用されていない
  • 導入したが、具体的な評価や育成に結びついていない
社員のスキル習得に対するサポートが不足している
ITSSを導入しても、社員が適切にスキルを習得できる環境が整っていなければ、形骸化してしまいます。スキルマップを作成しただけで、実際の学習コンテンツやトレーニングプランが不足しているケースがよく見られます。

  • スキルレベルを評価する仕組みはあるが、スキルアップの機会が提供されていない
  • 社員が自己学習に頼らざるを得ず、モチベーションが低下
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既存の評価制度や人事戦略と連携していない
ITSSを導入する際、企業独自の評価制度や人事制度と連携していないと、社員にとって負担が増えるだけになり、うまく定着しません。特に、既存の給与・昇進制度とITSSのスキル評価が噛み合わない場合、現場からの反発を招くことがあります。

  • ITSSのスキル評価と給与体系がリンクしておらず、モチベーション向上につながらない
  • 既存の人事制度と乖離があり、評価が複雑になりすぎる
ITSSの適用範囲を誤る
ITSSは主に「ITエンジニア向け」のフレームワークですが、全ての職種に適用できるわけではありません。IT以外の業務にも無理に適用しようとすると、現場の混乱を招く可能性があります。

  • IT以外の職種にも適用しようとして、逆に現場の業務負担が増えた
  • 実際の業務内容とスキル標準が合っておらず、評価基準が不明瞭になった
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ITSS導入を成功させるポイント

ポイント.1
目的を明確化し、経営層と現場の共通認識を持つ
ITSSを導入する前に、まず「何のために導入するのか」を明確にすることが重要です。経営層と現場の意見をすり合わせ、ITSSをどのように活用するのか共通認識を持つことで、スムーズな運用が可能になります。

成功のポイント:
  • 「人材の適切な評価」「育成プログラムの最適化」「キャリアパスの可視化」など、導入目的を明確にする
  • 経営層と現場の担当者でディスカッションし、共通認識を作る
ポイント.2
既存の人事制度や評価制度と連携させる
ITSSのスキル評価を、企業の既存の人事制度や評価基準と適切に結びつけることで、より効果的に活用できます。特に、スキル評価と昇進・給与制度をリンクさせることで、社員のモチベーション向上につながります。

成功のポイント:
  • ITSSのスキル評価を給与・昇進に反映させる仕組みを作る
  • 人事部門と協力し、評価制度の整合性を確認する
ポイント.3
スキル習得のための支援策を充実させる
社員がスキルアップしやすい環境を整えることで、ITSSの導入効果を高めることができます。研修プログラムの充実や、資格取得のサポートなどを積極的に取り入れましょう。

成功のポイント:
  • 社員向けの学習コンテンツや研修プログラムを用意する
  • スキルアップを支援するための補助制度(書籍購入・研修費補助など)を整備する
ポイント.4
ITSSの適用範囲を適切に設定する
ITSSの適用範囲を適切に設定し、現場の実態に合わせた運用を行うことが重要です。すべての職種に適用するのではなく、特定のITエンジニア職に焦点を当てた導入を行いましょう。

成功のポイント:
  • ITエンジニア向けにカスタマイズし、必要なスキル領域にフォーカスする
  • 他の職種には無理に適用せず、必要に応じて独自の評価基準を併用する
ポイント.5
継続的な改善を行う
ITSSは一度導入したら終わりではなく、運用しながら継続的に改善していくことが重要です。定期的な見直しを行い、現場のフィードバックを反映しながら運用を最適化しましょう。

成功のポイント:
  • 導入後、定期的に効果測定を行い、必要な調整を加える
  • 現場のフィードバックを反映し、評価基準や運用ルールをブラッシュアップする
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ITSS+(プラス)とは

ITSS+(プラス)は、経済産業省と情報処理推進機構(IPA)が策定した、IT人材のスキルアップのための指針で、ITSS(ITスキル標準)を補完するものとして、「データサイエンス領域」「アジャイル領域」「IoTソリューション領域」「セキュリティ領域」について策定されました。
従来のITスキル標準(ITSS)が対象としていた情報サービスの提供やユーザー企業の情報システム部門の従事者のスキル強化を図る取組みに活用されることを想定しています。
ITスキル標準(ITSS)とデジタルスキル標準の違い

ITスキル標準(ITSS)とデジタルスキル標準の違い

ITSSはIT専門職向けのスキル標準で、エンジニアのキャリアパスやスキル成熟度を整理するための指標です。一方、デジタルスキル標準は、DX推進に必要なスキルを定め、経営層や一般社員も含めた幅広い人材が対象です。
スキル管理なしでDX人材は育たない!企業が抱える致命的なリスク

スキル管理なしでDX人材は育たない!企業が抱える致命的なリスク

DX(デジタルトランスフォーメーション)推進において、DX人材の育成は最重要課題の一つです。しかし、スキル管理を適切に行わないままDX人材育成に取り組むことは、企業にとって致命的なリスクを招きかねません。
なぜスキル管理なしではDX人材が育たないのか、そしてどのようなリスクが企業を待ち受けているのか、具体的に解説していきます。
ITスキル標準の活用ツール

ITスキル標準の活用ツール

SSI-iCDは、ITスキル標準のタスク・スキルを標準搭載する人材スキル管理システムです。IT人材のスキルや能力を「ITスキル標準」に基づいた評価項目で、ITプロフェッショナル人材の育成を図るための目標や計画を策定することができます。